①塩害によって金属部がサビやすい

大田区は東京都の中でも東京湾に面した沿岸部を抱えており、特に羽田・東糀谷・昭和島などの地域では、海からの潮風による「塩害」が、建物の外壁や屋根といった外装に大きな影響を及ぼします。

 

塩害とは、潮風に含まれる塩分が外壁や屋根、特に金属部材に付着し、酸化を促進してサビを引き起こす現象です。鉄部では白サビや赤サビが発生しやすく、アルミやステンレスであっても表面に腐食が進むことがあります。

 

バルコニーの手すりやシャッターボックス、雨どいの金具などにサビが見られる場合、それは塩害による劣化が始まっている兆候といえるでしょう。一度発生したサビは、周囲の塗膜を浮かせたり剥がしたりする原因にもなるため、放置すれば防水性の低下や部材の腐食につながります。

 

雨風が強い時期や台風時には塩分の飛散範囲がさらに広がるため、思わぬ部分で劣化が進行してしまうこともあります。こうしたエリアでの塗装メンテナンスには、塩害に強い防錆（ぼうせい）塗料や耐候性の高い下地材の使用が欠かせません。

 

また、施工前にしっかりとサビを除去し、金属面をケレン（研磨）処理することも非常に重要です。沿岸エリアに住む方にとって、サビの発生は早期発見・早期対処が鉄則となります。

②交通量が多く外壁が黒ずみやすい

大田区には、第一京浜（国道15号）や環八通り、第二京浜（国道1号）といった主要幹線道路が多く通っています。この沿線に立地する住宅では、交通量の多さによって外壁の黒ずみ汚れが目立つ傾向があります。

 

こうした汚れの主な原因は、排気ガスに含まれる微粒子や煤、粉じんが空気中に舞い、それが雨とともに外壁に付着することにあります。一度黒ずみが発生すると見た目が汚れて見えるだけでなく、素材に吸着して落ちにくくなるため、高圧洗浄や塗り替えが必要になります。

 

白やベージュ系の外壁ではこうした黒ずみが目立ちやすく、北面や出窓の下、換気フード周辺など、水滴が伝いやすい部分で「雨だれ」として線状に汚れが残りやすいです。また、経年劣化によって塗膜の防汚性が落ちている住宅では汚れが蓄積しやすく、洗浄しても短期間で再発してしまうことも少なくありません。

 

これを防ぐためには、低汚染性の塗料や光触媒・フッ素系塗料といったセルフクリーニング機能を持つ製品を選ぶのが効果的です。このように都市部特有の汚れには、それに応じた対策を講じることが重要です。

③外壁のひび割れが目立ってきた

築10年、20年と年数を重ねた住宅では、外壁にひび割れが入ってきたり、窓まわりや外壁の継ぎ目部分に細い亀裂が生じたりすることも多くなります。こうした経年劣化によるひび割れは、早めにメンテナンスすることが大切です。

 

モルタル外壁では乾燥収縮や地震による揺れ、サイディングボードではシーリングの硬化や外壁材の反り返りによって、このような亀裂が発生します。小さなひびでも、そこから雨水が浸入すれば内部の下地材や断熱材が湿気を含み、カビや腐食の原因になることもあるので注意しなければなりません。

 

また、冬場には水分が凍結膨張してひびが拡大し、塗膜が剥がれる二次被害も起こりやすくなります。地盤が柔らかいエリアや頻繁に地震の揺れがある地域では、微細なひび割れが徐々に進行しやすい傾向があります。

 

対処としては、ひび割れの種類に応じて補修を施す方法や、弾性塗料の選定が効果的です。すでに深いクラックが入っている場合には、塗装前に補修材での処置が必要になります。外壁のひびは、見た目の問題だけにとどまらず、構造上のトラブルに発展する前の重要なサインですから、早めの点検と対応を心がけることが大切です。